そんなくだらないことでケンカするなんて………本当に幸せだね、アンタたち。
シアワセのカタチ
「アイスにはコーンであろう!!」
「何言ってんだ。アイスなんてカップに入れて食べりゃあいいんだよ!」
「………………」
くだらない…そう私は思いながら嘆息した。
放課後。とある有名アイスクリーム店。そこに私はクラスメイトの朽木さんと、同じくクラスメイトで私にとっては幼馴染の一護とやってきた。
本当は織姫と朽木さんと私の三人で行く予定だったけど、織姫が急用ができたので、朽木さんと二人で行くことになった。
その時、偶々話しかけてきた一護。私はどうせなら…と一緒に行かないかと一護を誘った。一護と朽木さんは付き合っているから問題ないだろうと思って。
しかし、意外な問題が出てしまった。
「大体、コーンに乗せると食べにくいし、あれって齧った時歯が浮く感じがしてイヤなんだよ」
「何を言う!コーンは甘くて美味しいではないか!?それに、コーンに乗せると愛らしい感じだが、カップは味気ない」
「見た目なんかどうでもいい。ようは食べやすさだ」
「コーンだって食べやすい!!」
先ほどから一護と朽木さんは、「アイスはカップかコーンか?」で口げんかしている。…本当にくだらない。
ちなみに私はコーンで頼んだ。朽木さんが「有沢さんだってコーンじゃないか!!?」と言ってたけど…ゴメンね、朽木さん。私この前カップで食べた。
私はその時の気分で決めちゃうから。織姫もそう。
だから正直、カップかコーンかでケンカしている二人の気が知れない。
(こんなことなら朽木さんと二人で来れば良かった………)
そんなことを思いながら、私はアイスを食べる。そういえばあの二人、さっきからケンカばかりしててアイス食べてない。
二人のアイスに目をやれば、どちらも少し融けかかっている。私は本日何度目かわからないため息をついた。
「あー…ハイハイ。とにかく二人ともアイスを食べなよ。融けかかってるよ」
私の一言で二人はハッと手元を見る。そして「確かに…」と同時に呟いてアイスに手をかけた。
全く、子どもなんだから…と半ば呆れながら私はアイス再びアイスを食べる。そんな時だった。
「一護。貴様のアイスは何の味なのだ?」
朽木さんがちょこんと首を傾げ、上目遣いで一護に尋ねていた。
同じ女の私でも可愛い…と思ったから、男の一護はもっと可愛いと思ってるんだろうなと一護を盗み見たら、案の定、ほんの少し頬が赤かった。
「チョコミントとチョコレート。そういうお前は何なんだよ?」
早口で答える一護。あれは照れてるわ。照れてるアイツを見るのは久しぶりかも…なんて思ってしまった。なんか気分は弟の成長を見守る姉みたい。
「私か?私はバニラとストロベリーだ!!」
一護から逆に質問された朽木さんは、嬉しそうに自分のアイスを一護に見せながら答える。
一護は朽木さんのアイスを見て、苦笑しながら言った。
「なんか…お子様が好きな組み合わせだな」
「………貴様だってチョコレートばっかりではないか」
ほんの少し頬を膨らませて一護を睨みつける朽木さん。本当に可愛いなぁ…と微笑ましく思う。
「俺のはチョコミント。チョコレートとはちょっと違う」
そんなことを一護が言った。確かにチョコミントってチョコよりミントの方が強いけど。すると朽木さんはまたしても首を傾げた。
「どう違うのだ?」
「ん?食べてみるか?」
「いいのか!?」
「ああ」
一護は持っていたカップを朽木さんに差し出した。それを朽木さんは嬉しそうに受け取る。けど、自分が持ってるアイスが邪魔をして朽木さんはチョコミントを食べることができない。
すると、一護がスッと朽木さんのアイスを取った。
「食べにくいだろ?持っててやる」
「すまない。…そうだ。貴様、私のアイス食べてもいいぞ」
「んー…じゃあ一口貰おうか」
そんな会話をして、朽木さんはチョコミントを。一護はストロベリーを食べる。ちなみに一護は一緒にコーンも食べていた。
何か…さっきまでくだらないことでケンカしていた二人とは思えない程の甘い雰囲気に、私の方が照れてしまう………
一口二口と二人はお互いのアイスを食べる。そして………
「これはチョコ…なのか?なんだか口の中がスースーする」
「まぁ…ミントが主だからな。チョコなんてほんの少ししか入ってないからな」
「ふぅん。貴様はどうだ?ストロベリー」
「甘いな」
お互い食べたアイスの感想を言う。そして同時に。
「でも、不味くはない。美味しかった」
と、二人声を揃えて言った。それまで二人の会話をなんとなく聞いていた私は、食べていたアイスを噴出しそうになった。
さっきまで口げんかしていた二人とは思えないくらい、甘い雰囲気を出していたから。
「あ。それと………」
朽木さんが恐る恐るといった感じで口を開いた。
「貴様の言ったとおり…カップは食べやすいな」
ほんのり頬を染める朽木さん。そんな朽木さんを見て一護も照れくさそうに呟いた。
「コーンも久しぶりに食べると美味しいな」
それを聞いた瞬間、私は本日一番大きなため息をついた。
さっきまでのくだらないケンカはどこに行った!?というか、付き合わされた私の身にもなれ!!と叫びたくなった。叫びたくなったけど………
なんだか幸せそうに笑っている二人を見たら、言えなくなってしまった。
―――ケンカして、でも自然に仲直りして、微笑みあって………これがこの二人のシアワセのカタチなのかもしれない―――
再び自分のアイスを食べ始めた二人を見て、私はそう思った。
でも、二度と三人でアイスを食べには行かない。誰が行くものか。
遅くなって本当にすみません;;;蘭子様!!!
リクを頂いたのは一月…もっと前だったかもしれない;;;
お待たせしすぎて本当にすみませんm(__)mしかも駄文でもっとすみません(T_T)
リク内容は無自覚ケンカップルだったのですが………
コレって無自覚ケンカップルなんだろうか;;;ただのバカップルのような;;;
初めてたつきちゃん視点で書きました。結構楽しかったです(笑)
もの凄い駄文ですが、蘭子様どうぞ煮るなり焼くなりお好きなように。返品も可です!!
こちらの作品は蘭子様のみお持ち帰りです。
up 08.03.25
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