今はまだ遠い場所にいるあなたに追いつくために。


あなたに追いつく目標



家の近くにある公園。そこはお気に入りの場所。ここで学校の友達と遊んだり、日々の鍛錬をしている。
その日もいつものように公園に行って、修行を開始しようと軽く体を動かしていた時だった。

「今日も修行かい?」
「雲雀さん!!」

声をかけられて振り返ると、そこに雲雀さんがいた。
慌ててお辞儀をすると、雲雀さんはゆっくりとこちらに近付いてきた。そして私に向かって微笑むと、近くにあったベンチに腰をかけた。

「君、頑張ってるよね」
「そう……ですか?」
「うん。頑張ってる。なんでそんなに頑張ってるの?」
「そ…それは………」

まさか雲雀さんがそんなことを聞いてくるとは思わなくて、私はビックリした。
ビックリしたと同時に、顔を真っ赤にして俯いてしまう。だって私が修行を頑張っている理由は………

「まぁ…言いたくないなら別にいいんだけどね」

私が何も言わないからだろう。暫くして雲雀さんが溜息をつきながら言った。その声はどこか苛立ちも含んでいて、私は思わずビクリと体を跳ね上げた。

(どうしよう!怒らせちゃった!!)

私はギュッと目を瞑った。憧れの人を怒らせてしまったことにショックとパニックとで涙が出そうになった。それを堪えるために目を閉じた。でも………
ポンポンと優しく私の頭に何かが触れた。私はそっと目を開けた。すると目の前には真っ黒なスーツが。
不思議に思って顔を上げるとニッコリと微笑む雲雀さんと目が合った。
呆然と立ち尽くす私に、今度は呆れたように雲雀さんは笑った。

「何ビクビクしてるの?別に僕は怒ってるわけじゃないんだけど?」
「え…だって、私が修行を頑張る理由を言わないから怒ってるんじゃ…?」
「ちょっとハラはたったけど。なんか君を見てたら僕が虐めてるみたいな気分になってきた。そこまでして聞かなくてもいいしね」

何だかわけがわからず、「はぁ…」と私が首を傾げると、雲雀さんは「そういうこと」と適当に纏めてしまった。

「じゃあ僕は行くから」
「あ…はい」

話の展開についていけない私を残して、雲雀さんはその場を去ろうと公園の出口に向かって歩き出した。

(よくわからないけど…怒らせたわけじゃないからいいか)

そんなことを思いながら、とりあえず修行再開!と構えた時だった。

「ねぇ」
「はい?」

突然雲雀さんに声をかけられて、私は振り向いた。
公園の入り口で、雲雀さんは腕を組んで私に言った。

「頑張ってる君は嫌いじゃないよ」

一瞬、私は何を言われたのか理解できず、目をパチパチと瞬きさせることしかできなかった。

「頑張って強くなったら…相手してあげるよ」

それだけ言うと、雲雀さんは手をヒラヒラと振って去っていった。
しばらく呆然としていた私だったけど、そのうち胸がドキドキして顔が熱くなってきた。

「えっと……これって」

熱くなった頬を両手でおさえて、私は呟いた。

(少しは雲雀さんに認められてるってことなのかな………?)

自惚れかもしれないけど、そう思ったら嬉しくて口元が緩んでしまう。

「まだまだだけど……目標に少しは近付けたのかな?」



雲雀さん。私が修行を頑張っている理由はね。
強いあなたに少しでも近づけるように。追いつけるように。
そのために頑張ってるんです。







イーピンの誕生日以来の更新です;;;
今年中にはコンプリートしたいとか言ってましたが、ムリな気がしてきました。

「あなたに追いつく目標」
一応、イーピン10歳くらいの設定なんですが、この文章だと何歳でもいいような気が…
イーピンは憧れ。雲雀さんは可愛い妹。
まだそんな位置関係の二人です。あと五年くらいたったら恋に発展すればいい…!!!
妹に隠し事されて拗ねてるお兄ちゃんを目標に作った駄文です。
目標から大きく反れた気がしますが;;;

短文のくせに時間がかかってしまった一品です(苦笑)


up 08.06.21


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