大好きだから、幸せになってほしいの。


Corolla ―prologo―



「何作ってるんですか?京子さん」
「えっとね、シロツメクサで花冠を作ってるの」
「わぁ!すごい!!それは誰にあげるんですか?」

京子が作る花冠をキラキラとした眼差しで見つめながら、幼い少女―イーピン―が尋ねてきた。

「ん?ツっ君だよ」
「ツナさん?」

イーピンが首を傾げる。それに京子はニッコリと微笑んだ。
今日は綱吉と世間一般的に言うところのデートをしていて、その途中の河原でイーピンに会った。
ちょっとイーピンと話している間に綱吉が寝てしまったので、京子はイーピンと辺り一面に咲いているシロツメクサを摘んで遊んでいた。

「どうしてツナさんにあげるんですか?男の人なのに」
「それはね………シロツメクサの花言葉がね『幸福』だからだよ」
「はなことば?」
「うん。花にはそれぞれ意味があってね、それを花言葉って言うの」
「そうなんだぁ」
「そうなの。それでね、私ツっ君には幸せになってほしいから…だからあげるの」

そう言って京子が微笑むとイーピンもニコっと微笑んだ。

「イーピンちゃんは幸せになってほしい人とかいる?」
「え?幸せになってほしい人ですか?えっと………」

京子が尋ねるとイーピンは顎に人差し指をあてて考え込む。暫くして………

「雲雀さん!イーピン、雲雀さんに幸せになってもらいたい!!」

イーピンは嬉しそうにそう言った。それを見て思わず京子は目を瞠る。そしてすぐに微笑んだ。
目の前の少女は、中学時代、最強と恐れられていた並中風紀委員長の雲雀に恋をしていている。
そしていつもは他人に無関心な雲雀もイーピンにだけは優しくて。
彼もイーピンだけは、恋ではないのだろうけど、特別に想っているのだろうな…と京子は思った。

「イーピンちゃんも花冠作ってみる?教えてあげるよ」
「本当ですか!?」

大きな目をキラキラと輝かせて、イーピンが京子を見つめる。そんなイーピンを可愛いなぁ…と京子が思った時だった。

「う………ん…」
「あ…おはよう。ツっ君」
「ツナさんおはよー」

綱吉が目を覚ました。京子とイーピンが声をかけると、寝ぼけ眼で「おはよう」と言いながら綱吉は起き上がった。

「ごめん…ヒマだったでしょ?」
「そんなことないよ。イーピンちゃんとお話しながらツっ君にプレゼント作ってたんだよ」
「プレゼント?」

首を傾げながら尋ねる綱吉に「うん」と頷くと、京子は持っていたシロツメクサの花冠を綱吉の頭に乗せた。

「へ?花冠………?」
「頑張って作ったんだよ」
「ありがとう……でもなんで花冠?」
「ちゃんと意味があるんだよ。家に帰ってイーピンちゃんに聞いてみて」
「イーピンに?」

言いながらイーピンを見る綱吉。イーピンは綱吉にニッコリと微笑んだ。



―――その花冠に私の想いをいっぱい詰めこんだからね―――







イーピンが雲雀さんに花冠を作ろうと思ったきっかけのお話です。
実はこっちの方が先に話が纏まってしまったという;;;
ヒバピン要素を含んだツナ京ですが、またしてもロ○であることに気付いた…!!!

雲雀さんのお誕生日なのにツナ京書いてすみません;;;
でも楽しかったです\(*´∀`*)/

こんなおまけを見つけて読んでくださり、ありがとうございましたm(__)m


up 08.05.05


ブラウザでお戻りください