貴方への想いをこめて。


Corolla



眠い…そう思いながら、雲雀は一つ欠伸をした。



「今日は天気もいいし、ピクニックに行きませんか?」

今朝。起きてリビングに行くと、先に起きていたイーピンがそう言ってきた。テーブルの上にはお弁当が入っているであろうバスケットが置かれていた。
準備万端整えていて、もし自分が断ったらどうするつもりだろう…と思いながら、雲雀は口を開いた。

「いいよ。それでどこに行くの?」

他のヤツなら断るが、誘ってきたのは世界で一番大切に想っている少女。雲雀はイーピンの誘いに乗った。
こうもあっさりと雲雀から了承を得られるとは思っていなかったイーピンは、それは嬉しそうに微笑んで雲雀のシャツを引っ張りながら言った。

「あのですね…………」



「ねぇ?何で河原ココなの?」

イーピンに連れて行かれたのは近くの河原。そこでイーピンはシートを敷き、お弁当の準備を始めた。
少々混乱しながら雲雀は出されたお弁当を食べた。そして食べ終わった後に質問した。何故ここなのかと。

「え?だって近いし、静かだし。人も少ないから雲雀さんには丁度いいでしょう?それに………」
「それに?」
「いえ!何でもありません!!それよりお茶飲みますか?」
「そうだね。貰おうか」

イーピンが言いかけたことが気にはなったが、喉が渇いていたので雲雀はお茶を貰うことにした。
ピクニックといえば、大半は公園。でもイーピンが選んだのは河原。きっと群れるのが嫌いな自分を公園に連れて行ったら不機嫌になる。そう思ってイーピンは河原にしたのだろう。     .
そんなことを思いながら、雲雀はお茶を飲む。その時心地よい風が吹いた。思わず雲雀は欠伸をする。
昨日は綱吉に呼び出されて守護者全員で会議をした。何かの作戦会議だったのだがまともに聞いていなかったので内容は覚えていない。
ただ、ちゃんと聞けと獄寺が怒り、鬱陶しかったのでそれを挑発して咬み殺してやろうかとは思ったのだが、綱吉に止められた。
そんなこともあって会議は長引き、結果睡眠時間が削られたのだ。

「雲雀さん。眠たいんですか?」

欠伸をしていたところを見たのだろう。そっとイーピンが尋ねてきた。雲雀はそれにコクンと頷いた。

「眠たいんだったら寝てもいいですよ。私ここで本を読んでますから」
「………じゃあ、そうさせてもらうよ」

イーピンの申し出にほんの少し申し訳ないと思ったが、雲雀はそれに甘えることにした。そのままシートの上に寝転ぶ。
そんな雲雀を見てイーピンはニッコリと微笑むと、持ってきたブランケットを雲雀の体にかけ、自分は持ってきた本を開いた。
暫くそんなイーピンを見つめていた雲雀だったが、すぐに眠気が襲ってきてそのまま目を閉じた。



「………あつ」

暫くして雲雀は目を覚ました。
春とはいえ、日なたにずっといれば暑い。雲雀はそっとブランケットを取る。そして目を横に向けた。しかし。

(いない?)

眠る前、隣で本を読んでいたイーピンがいなかった。雲雀は目を瞬かせる。
イーピンが自分を置いて先に帰るわけがないし、変なヤツらに襲われたとしてもその気配に自分が気付くはず。では一体どこに………
そう思いながら、雲雀はゆっくりと起き上がった。そして「あ」と小さく声をあげた。
雲雀が寝ていた場所から数メートル離れた所。小さな白い花が咲き乱れている場所に、イーピンが座っていた。
何をしているのだろうと思いながら、雲雀はイーピンを見つめる。
イーピンは白い花を摘んではせっせと何かを作っていた。その姿はとても幸せそうで………雲雀は魅入ってしまった。

「できた!」

イーピンの声に雲雀はハッとする。すぐに視線をイーピンに向けると、イーピンは満足そうに自分の手元を見ていた。
今雲雀がいる場所からだと、丁度イーピンの手元辺りが隠れて見えない。一体何ができたのだろうと首を傾げながら、雲雀はイーピンに声をかけた。

「何ができたの?」
「ひゃ!雲雀さん!起きてたんですか!?」

突然声をかけられてイーピンは体を跳ね上げる。その慌てぶりに雲雀はクスリと笑ってしまった。

「今起きた。ところで何ができたの?」
「あ………えっとですねぇ」

イーピンは「できた」ものを後ろに隠して雲雀に近付く。その行動の意味がわからず、雲雀が首を傾げようとした時だった。
雲雀の元に来たイーピンがニッコリと微笑んだ瞬間、ふわりと何かが頭に乗った。

「お誕生日おめでとうございます。雲雀さん」
「………え?」

思いがけない言葉に雲雀は目を瞠る。それと同時に頭に乗せられたものを手に取った。

「これ………」
「シロツメクサの花冠です。花言葉は『幸福』なんですよ」
「幸福?」
「はい。雲雀さん、プレゼントは何がいいですかって聞いても別にって言うから、どうしようか迷ったんです」
「それで何で花冠なの?」
「それはですね、昔京子さんにシロツメクサの花言葉は『幸福』って教えてもらったのを思い出して」
「それが?」
「雲雀さんに幸せになってもらいたいなぁ…って思って。だからシロツメクサの花冠にしてみたんです」

安上がりですみません…とイーピンは苦笑する。
そんなイーピンを見て、敵わないな…と雲雀は思った。

―――花言葉に思いを込めなくても、僕は君が側にいてくれるだけで幸せなのに―――

本当に、心からそう思う。でもそんなことは恥ずかしくて言えない。だから。

「ありがとう」

そう言って、雲雀はイーピンを抱きしめた。
抱きしめられて一瞬驚いたイーピンだったが、「どういたしまして」と嬉しそうに微笑んだ。

「あ…それとですね」
「何?」

腕の中のイーピンがクイっと雲雀のシャツを引っ張った。
雲雀が首を傾げると、イーピンは雲雀の耳元に手をあて、ないしょ話をするように囁いた。

「シロツメクサにはもう一つ、『私を想って』って意味があるんですよ」

ほんのりと頬を赤く染めて微笑むイーピン。
雲雀は呆れたような、でも幸せでたまらないといった表情で微笑みながら言った。



「心配しなくても、僕はいつでも君の事を想っているよ」







Buon Compleanno Hibari!!

某方の歌のタイトルだけ見た瞬間考えたお話。歌詞と内容は全然違います(笑)
「Corolla」は「花冠」という意味です。一応イタリア語のはず………不安だ;;;
しかし花冠をつけた雲雀さん………似合わない;;;別人でごめんなさいm(__)m

どこかにおまけを隠しています。雲雀さんの誕生日なのにおまけはツナ京です(´V`)
ヒント無しですww頑張って探してください☆

ではでは、雲雀さんお誕生日おめでとうございます\(*´∀`*)/


up 08.05.05


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